真菌(カビ)の一種であるカンジダは、院内感染症の原因としてよくみられる。真菌感染症による死亡リスクは医療サービスに大きな負荷となっているが、その疫学的特徴やリスク因子についての分析は限定的であった。中国医科大学附属第一医院の研究チームは「菌血症を併発した侵襲性カンジダ感染症患者の予後リスク因子」を機械学習手法によって解析した成果を発表している。
BMC Infectious Diseases誌に発表された同研究では、菌血症を併発した侵襲性カンジダ感染症患者246名の臨床データに、機械学習手法のランダムフォレストを適用し、予後リスク因子を特定した。その結果、死亡リスクの主な予測因子10項目として、血清クレアチニン・年齢・入院期間・ICU滞在日数・血清アルブミン・CRP・白血球数・好中球数・プロカルシトニン・総ビリルビンが挙げられた。この10項目を用いたモデルの予測性能はAUC 0.919を達成している。
本研究は、単一施設でのレトロスペクティブ研究という限界はあるものの、菌血症を併発した侵襲性カンジダ感染症患者に機械学習モデルを適用した最初期の研究となる。機械学習手法の隆盛で大規模データセットを解析する能力が向上し、臨床医を支援する予後因子のより精緻な特定が可能となっているが、これはあらゆる患者にとっての多大な恩恵となり得る。
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