心臓の冠動脈に蓄積するプラークは、心筋への血流を妨げ心臓発作のリスクを高める。冠動脈造影CT(CTA)という画像検査から冠動脈プラークの定量が行われるが、専門家の労力を要するその工程に対し、より簡便・迅速・自動化された手法が求められている。米シダーズ=シナイ・メディカル・センターの研究チームは、プラーク測定を自動化し、得られた測定値から心臓発作リスクを予測するAIツールを開発している。
The Lancet Digital Healthに発表された同研究では、アルゴリズムによってCTAの3D画像から冠動脈の輪郭を描き、血管内の血液とプラーク沈着を特定している。このツールで得られたプラーク量の測定値は、専門医がCTAから手動で測定する結果と高度に一致し、高精度な侵襲的検査である血管内超音波検査および冠動脈カテーテル造影検査とも一致する結果を示した。さらに研究チームは、CTAから5年以内の心筋梗塞リスクを評価した「SCOT-HEART試験」の参加者1,611名にツールを適用し、同等のリスク評価ができることを確認した。
シダーズ=シナイのインタビューに対し、本研究の著者Damini Dey博士は「専門家で最低25〜30分ほどかかっていた冠動脈プラーク測定を、このプログラムによって5〜6秒で定量化できるようになった」とツールによる恩恵を説明している。
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