米国では年間400万件の腹部手術が施行され、そのうちの1割程度が腹部ヘルニア修復術となる。腹部のヘルニアはその大多数が鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)だが、これは男性の4人に1人が罹患する高頻度な疾患でもあるとともに、その高い再発率が問題となってきた。米ヒューストンに所在するテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究チームは、腹部ヘルニア修復術後の「ヘルニア再発やその他の合併症リスク」を高精度に予測する機械学習モデルを構築した。
Journal of the American College of Surgeons(JACS)から公開されたチームの研究論文では、同センターで腹部のヘルニア修復のために開腹手術を受けた725人の患者を対象としている。ヘルニアの再発や退院後30日以内の再入院などを主要アウトカムとし、患者の背景情報や選択された手術手技などからこれらを予測する機械学習モデルをトレーニングしたところ、平均精度としてヘルニア再発を85%、再入院を84%など、優れた予測性能を示したとしている。
筆頭著者のCharles E. Butler医師は「外科医にとって、腹壁再建のリスクがどの程度かを理解することは非常に重要だ」と話し、再発や合併症に伴う患者の負担だけでなく、医療システムへの負荷、また外科医への身体的・精神的影響を軽減することに、研究成果が役立つ点を強調している。
なお、こちらの「著者へのインタビュー動画」も参照のこと。
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