急性期医療の現場でのAI利用が進むなか、小児科領域でも研究報告・活用事例が増え、関心の高まりをみせている。小児医療の意思決定に重要な役割を持つ親・保護者が、AIツールの利用をどの程度受け入れているか、米シカゴのアン・アンド・ロバート・H・ルーリー小児病院で調査が行われた。
本研究成果は、Academic Pediatricsからオンライン公開されている。救急外来を受診した「呼吸器疾患を有する小児」を対象として、1,620名の保護者に調査を行ったところ、概して「多くの保護者が小児臨床へのAI利用を受け入れる結果」が示された。保護者が「不快感を示さないAI利用シーン」の内訳として、抗菌薬投与の必要性(77.6%)、血液検査の必要性(76.5%)、放射線画像の解釈(77.5%)が挙がっている。また、白人の非ヒスパニック系の親に比べ、黒人の非ヒスパニック系の親の方がAIに不快感を示した。さらに、46歳以上の保護者に比べ、18-25歳の若年世代の保護者の方がAIに不快感を示していた。
インタビューに対し、著者で小児救急医のSriram Ramgopal氏は「AIが小児科の日常臨床に導入されるのは必然の流れだ。本研究の結果から、小児急性期医療におけるAIツールの開発には、多様な層の親・保護者を巻き込み、彼らがテクノロジーに慣れるとともに、意図せぬバイアスがAIツールに含まれぬよう進める必要性が示唆されている」と語った。
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