過去の研究において「看護師は、検体の提出や消耗品の回収、薬剤部からの薬の受け取りなど、時間がかかるが単純な作業に、勤務時間の最大33%を費やしていること」が明らかにされている(参照論文)。看護師が「本来的な患者ケア」に専念するためには、代替可能な業務をロボットに処理させることは現実的な解決策となる。
米クリスティアナ・ケアは、Moxiと呼ばれる看護支援ロボットを導入したフィラデルフィア地域最初の医療機関となる。同院がこのほど明らかにしたところによると、米看護師財団(ANF)から150万ドル(約1.9億円)の助成金を得て、5台のMoxiを配備することが決まった。Moxiは、配送業務を中心とした「看護師の非臨床雑務」を代替することで、看護業務の効率化と質的向上を狙う。将来的に11の入院病棟に配置し、400名以上の看護師と連携することを予定している。
Moxiは人とワークスペースを共有し、直接対話できるように設計されている。クリスティアナ・ケアの発展的な取り組みとしては、Moxiを電子カルテプラットフォームと統合することで「看護師が機器・消耗品・薬剤・検査などを必要とするタイミング」を特定するAIの構築も計画している。Moxiは、Newsweek誌によって2021年の「America’s Greatest Disruptors」にも選ばれるなど、医療業界内外からの大きな関心を集めながら導入事例の拡大を続けている。実際のMoxi運用の様子はこちらの動画を参照のこと。
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