看護支援ロボット「Moxi」

過去の研究において「看護師は、検体の提出や消耗品の回収、薬剤部からの薬の受け取りなど、時間がかかるが単純な作業に、勤務時間の最大33%を費やしていること」が明らかにされている(参照論文)。看護師が「本来的な患者ケア」に専念するためには、代替可能な業務をロボットに処理させることは現実的な解決策となる。

米クリスティアナ・ケアは、Moxiと呼ばれる看護支援ロボットを導入したフィラデルフィア地域最初の医療機関となる。同院がこのほど明らかにしたところによると、米看護師財団(ANF)から150万ドル(約1.9億円)の助成金を得て、5台のMoxiを配備することが決まった。Moxiは、配送業務を中心とした「看護師の非臨床雑務」を代替することで、看護業務の効率化と質的向上を狙う。将来的に11の入院病棟に配置し、400名以上の看護師と連携することを予定している。

Moxiは人とワークスペースを共有し、直接対話できるように設計されている。クリスティアナ・ケアの発展的な取り組みとしては、Moxiを電子カルテプラットフォームと統合することで「看護師が機器・消耗品・薬剤・検査などを必要とするタイミング」を特定するAIの構築も計画している。Moxiは、Newsweek誌によって2021年の「America’s Greatest Disruptors」にも選ばれるなど、医療業界内外からの大きな関心を集めながら導入事例の拡大を続けている。実際のMoxi運用の様子はこちらの動画を参照のこと。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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