ベッドサイドの肺評価を革新するAIデバイス

空気を多量に含む臓器である肺は、超音波検査による評価対象として適切ではないと長年考えられてきたが、アーチファクト(虚像)の解釈技術向上などに伴い、近年ではベッドサイドでの肺疾患評価に超音波検査が活用される機会も増えている。

カナダ・オンタリオ州に所在するLawson Health Research Instituteの研究チームは、ポータブル超音波検査装置にAIデバイスを組み合わせた、「重症患者における新しいリアルタイム肺評価手法」の臨床的有効性を評価する試験を進めている。医療AIスタートアップであるWavebaseが開発したこのデバイスは、超音波検査装置に取り付けることで、AIモデルによる肺超音波画像のリアルタイム解析を可能とするもの。ベッドサイドにおける当該検査で、肺炎を含む種々の感染症や虚脱など、肺関連の深刻な病態の自動検出を担う。

研究チームのChintan Dave医師は「クリティカルケアにおけるベッドサイドでの肺超音波検査では、生命を脅かす状態を数分以内に特定する必要があり、AIは大きな役割を果たす可能性がある」と述べた上で、「医師以外の医療職であってもAIシステムを活用し、迅速かつ正確な肺評価が可能となることを願っている」と話す

関連記事:

  1. Tyto Lung Sounds Analyzer – 遠隔医療用の肺音解析AIシステム
  2. 心電図を活用して肺塞栓症を検出するAI研究
  3. AIシステムで「従来の肺機能評価」を置換へ
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事