「注視するAI」で病変を検出

人間の「注視する」能力は視覚の中でも重要な役割を果たしており、場面に応じた最も優先度の高い情報を選択して解釈することを可能にする。この「注視するプロセス」を高次に運用することで、読影医は医療画像から病変を効率的に検出している。英カーディフ大学の研究グループは、人間の注視機能を再現するAI研究を進めており、読影医を支援する画像解析システムの基礎技術としての発展を狙う。

Neuralcomputingから公表された同研究では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の設計に「人間の視覚特性」を統合した、新しい顕著性予測モデルを構築している。研究チームはモデルトレーニングに際し、視線追跡ソフトウェアに基づく、人間の「関心領域」を割り当てた画像データベースを利用した。その結果、本AIモデルは「画像のどの部分において人間の注視が最も顕著になるか」を正確に予測できるようになり、既存の画像識別モデルを超えたパフォーマンスが示唆された。構築された顕著性予測モデルは実際、公開ベンチマークやコンペティションにおいて特に優れた結果を示しているとする。

著者でカーディフ大学のHantao Liu氏は「画像の中で人間がどこに注視しているかうまく予測できれば、ロボット工学における目標の自動検出から医療画像診断に至るまで、幅広い応用の可能性がある。このモデルが画像内の病変検出をどう支援していくか、放射線科医との協力で次の検証ステップへと進めたい」と述べた

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

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防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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