デジタルマンモグラフィの普及を背景として、乳がんスクリーニングにおける画像解析AIが多数提唱されている。デジタルマンモグラフィデータに基づくDNNベースの病変検出・分類に関する先行研究により、このようなシステムが放射線科医と同等の診断性能を有し、意思決定支援システムとして有望であることが示されてきた。一方、乳がん検診プログラムにおける精度評価については、依然として確たるエビデンスが欠如している事実がある。
ドイツの研究チームは、「検診環境におけるAI支援のマンモグラフィ読影の有効性」を評価し、研究成果をThe Lancet Digital Healthからこのほど公開した。ドイツ国内における乳がん検診プログラムに参加している8つの施設において、過去に実施された10万件を超えるマンモグラフィ検査を対象に、AIシステム単独読影、医師単独読影、AI支援読影の3パターンをレトロスペクティブに性能比較している。結果、モデルトレーニングに用いた6施設における内部データセットでは、AIシステムは感度84.2%および特異度89.5%を示し、2施設における外部データセットでは、感度84.6%および特異度91.3%であった。これは一般的な放射科医の精度を下回るものであったが、AI支援による評価シミュレーションでは、医師の病変検出感度を2.6%、特異度を1.0%、有意に上昇させていた。
著者らは「AIシステムの活用は、放射線科医のスクリーニング精度を向上させ得る」とした上で、検診環境においてスクリーニング要件に適応しつつ、放射線科医の作業負荷を軽減する有効なAIシステムの構築と利用が可能である点を強調している。
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