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行動変容に対するAIチャットボットの影響

健康を維持・増進するため日々の行動を改善する「行動変容」という概念が、デジタルヘルスの隆盛とともに再注目されている。行動変容に有効性が期待されるツールのひとつ「AIチャットボット」は、ユーザーから得られるテキストや音声、生体データなどを自然言語処理や機械学習によって解析し、ユーザーとの双方向コミュニケーションを通じて目標達成を支援する。米サウスカロライナ大学の研究チームは「AIチャットボットの行動変容に対する影響」についてのシステマティックレビューを公表した。

同レビューはプレプリント版がmedRxivで公開されており、AIチャットボットの行動変容に対する有効性を評価した計15件の先行研究について論じている。15件のうち、6件が「健康的なライフスタイル促進」、4件が「禁煙」、2件が「治療・服薬遵守」、1件が「薬物濫用の抑制」に関するチャットボットの有効性を検証した研究であった。ランダム化比較試験(RCT)を用いた研究は4件のみであった。これらAIチャットボットの戦略には、行動変容の各種理論や専門家の知見が用いられ、「目標設定」「モニタリング」「リアルタイム性の強化」「フィードバック」「オンデマンド支援」が活用されていた。

いずれの研究でもAIチャットボットの介入により、大規模で多様な集団における行動変容に対する有用性が示されていた。しかし一方で、報告された結果は、内的妥当性が十分とは言えないこと、AI技術に関する記述が不十分であること、一般化可能性に限界があること、などから研究結果の解釈は慎重に行われるべきである、と著者らは考察する。本レビューでは、AIチャットボットによる行動変容への介入は未だ初期段階であることが観測され、より正確な論拠を得るためにさらなる研究が必要と結語している。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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