乳児が泣く理由は空腹・疲労・疼痛など様々だが、親にも医師にも真に正確な理由の判定は容易ではない。カナダ・モントリオール拠点のUbenwa社は、乳児の泣き声から「緊急に対処すべき医学的異常」のシグナルを検出するAIツール開発を進めている。
Ubenwaは、プレシードラウンドで250万ドル(3.4億円)の調達、およびモントリオール小児病院など複数の医療機関との提携を発表した。「Ubenwa」はナイジェリアのイボ族らが使うイボ語で「赤ちゃんの泣き声」を意味し、同社の創業者であるCharles Onu氏がナイジェリア出身であることに由来する。アフリカ諸国では周産期の児死が依然として課題であり、Ubenwaの初期の試験では「新生児の泣き声から窒息状態を検出するAI研究」がナイジェリアの提携医療機関を中心として行われてきた(INTERSPEECH 2019)。Ubenwaでは、臨床的な注釈のつけられた多様な泣き声のデータベースを構築し、音声信号処理と機械学習を用い、音響バイオマーカーの特定と異常予測のアルゴリズム開発を進めている。
Onu氏は「我々は、乳児が医療を求めていることを理解するための診断ツールを開発している。泣き声の翻訳者となり、分娩室・集中治療室・保育所・家庭など、乳児がいる場所ならどこでも健康をモニタリングできる非侵襲的な方法を提供することが目標だ」と語った。
関連記事: