尿路感染症において「尿培養」は診断と治療にとって最も重要な検査だが、検査の手間と結果までの時間差があり、不適切な抗菌薬使用および耐性菌増加という問題にもつながっている。米オハイオ州のネイションワイド・チルドレンズ病院のチームは、「UTOPIA」と呼ばれる予測モデルを用いて、小児の尿路感染症における尿培養結果を推定する研究を行っている。
American Association for Clinical Chemistry(AACC)の2022年次総会で発表された同研究によると、尿培養結果予測モデル「UTOPIA」では、年齢・性別・尿中亜硝酸塩・尿中白血球エステラーゼ・尿中白血球数・尿中細菌グレード、という6つの変数を用いて、尿培養の陽性結果を予測する。5,535名の小児患者を対象とした検証で、UTOPIAの性能はROC 0.825を達成している。
尿培養の結果判明までには一般的に2〜3日間を要するため、このような予測モデルを用いることでより早期での尿路感染における治療意思決定が可能となる可能性がある。研究チームを率いたJingcai Wang博士は「UTOPIAは尿培養の結果を予測するシンプルな手法で、尿路感染症の迅速な診断を可能にする。これによって不必要な尿培養を減らし、コスト削減と、小児における不必要な抗菌薬使用を減らすことができる」と語った。
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