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COVID-19の画像診断AIが実用水準に達していない可能性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連し、特に「胸部X線画像からCOVID-19を検出するAIツール」は多数提唱されているが、その臨床的有効性については検証余地が大きい。米ミネソタ大学の研究チームは、COVID-19のX線画像診断AIの有効性を評価する前向き試験の成果をRadiology: Artificial Intelligenceに発表した。

研究論文によると、ミネソタ大学に関連する米国内12の病院を対象として、胸部X線画像からCOVID-19を検出するAIモデルの構築と、19週間に渡る前向き検証を行った。モデルトレーニング・外部検証・リアルタイム検証までに95,363枚の胸部X線画像を用い、そのうちリアルタイム予測による有効性検証に活用したのは5,335件で、COVID-19有病率は4.8%(258件/5335件)であった。検証の結果、COVID-19有病者では、非有病者に比べて有意に高いCOVID-19診断スコアが示された。しかし、重症者により良好なパフォーマンスを示す一方で、軽症者についてはモデルによる判別は困難であったこと、モデルの感度および特異度が性別や人種の違いによって有意に増減すること、などが明らかにされた。また、2名の放射線科医の診断精度(放射線科医1=67.8%、放射線科医2=68.6%)と比較して、モデルの精度は63.5%に留まった。

ミネソタ大学医学部外科准教授のChristopher Tignanelli氏は「本研究ではAIの潜在的利点と同時に、その限界も示された。AIツールはCOVID-19診断に有望ではあるものの、十分な診断水準には達していない。発表済みのAIモデルの多くは公開データセットによって過度に楽観的な性能を誇っていたが、これは現実世界には通用しない可能性が高い。モデル開発にリアルタイムの前向き検証の要件を設定することが今後不可欠だ」と語った

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

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防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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