慢性疼痛に対し、AIを用いて患者ごとに個別最適化した認知行動療法(AI-CBT-CP)が、従来の確立された認知行動療法(CBT-CP)と同等の効果を示し、かつアクセス向上とコスト削減の面で優位であることが明らかにされた。
米ミシガン大学の研究者らは、無作為化比較試験の成果をこのほど、JAMA Internal Medicineから公開した。研究論文によると、AI-CBT-CP介入は、強化学習と双方向音声応答(IVR)を用いて患者の治療をカスタマイズするように設計した。全ての患者には10週間の認知行動療法が提供されたが、Roland-Morris障害度質問票を用いた治療効果測定では、介入群と標準治療群に明らかな差はなく、6ヶ月時点でAI-CBT-CPが「臨床的に意味のある改善」を示したのは37%の患者であったのに対し、CBT-CPでは19%だった。また、専門セラピストの治療投資時間が介入群では半分以下に減少していた。
従来型のCBT-CPは、慢性疼痛管理においてオピオイドにも代わり得る有効な治療法として知られる。しかし、CBT-CPはセラピストとの複数回のセッションが必要となる一方で、米国の臨床現場においてこのサービスを提供できるセラピストの数が十分ではない。これにより、多くの患者はCBT-CPへのアクセスが極端に制限される、または必要な治療を完了することができない状況が問題となってきた。
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