米ペンシルベニア大学の研究チームは、「電子カルテ情報から希少疾患リスクにフラグを立てるAIシステム」の開発に取り組む。米国立衛生研究所(NIH)から提供される研究資金は470万ドル(約6.7億円)に及び、今後4年間の研究期間を経て「希少疾患診断の早期化と患者予後の改善」を実現しようとする。
ペンシルベニア大学がこのほど明らかにしたところによると、対象となる疾患は5種の血管炎と2種の脊椎関節炎であるという。これに含まれる多発性血管炎性肉芽腫症(GPA)は、多臓器に炎症が起こるもので、重症化・死亡リスクも高い。ただし、100万人あたり2人程度の発症と極めて希な疾患であるために、正しい診断を得るまでに数ヶ月から数年のタイムラグが存在する。主任研究者の1人であるPeter A. Merkel氏は、既知の情報から希少疾患リスクを自動スクリーニングすることについて「仮に10%程度のリスクであったとしても、これを指摘することで、臨床医は潜在的な問題を念頭においた”より良い決断”を行うことができる」と述べる。
研究者らは、異なる医療システムからの情報を統合した全米データベースである「Patient-Centered Clinical Research Networks(PCORnet)」の臨床データを利用し、2700万人以上の患者データに基づくアルゴリズム開発を実施する。
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