米テュレーン大学の研究者らは、AIとナノテクノロジーを用いた新たな血液検査法を開発し、小児結核の診断プロセスを大きく変革する可能性のある技術を公開した。研究成果はNature Biomedical Engineeringからこのほど公開された。
15歳未満の小児において、世界で25万人が毎年結核で死亡するが、そのうちの実に8割が5歳未満であるという。また、その大部分(96%)は正確な診断を受けていないことを研究チームは指摘し、特に医療アクセスの限られた地域における「有効な検査方法確立の必要性」を訴える。新しい血液検査手法では、結核菌のリポアラビノマンナン(LAM)と関連タンパク質であるLprGを特定することができるもの。チームはLAMとLprGに結合する抗体をナノ粒子にコーティングし、これらの位置を特定する。AIアルゴリズムはバックグラウンドノイズの除去に活用されており、ナノ粒子上の他物質によって引き起こされる「不要な情報」を高精度に排除することができる。
この検査を利用することにより、結核と診断された小児の89%において結核を同定できた他、一般検査で結核を判定できなかった小児の74%に結核の正診断を与えることができた。研究を率いるテュレーン大学のTony Hu博士は「結核は、主として種々の資源に乏しい地域で見られやすい疾患だ」とした上で、このような環境でのポイントオブケアで使用できる検査方法の確立を目指す旨を明らかにしている。
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