結核初期における既存の診断方法は、時間がかかる、高価である、専門人材を要する、などの点で蔓延地域における低所得国にとっては敷居が高い。例えば、1回2.6~10.5ドル程度の喀痰吸引検査は1日1ドルで生活する地域にとっては負担が大きく、確定診断まで複数回の医療アクセスを必要とすることにも困難が伴う。
テクニオン=イスラエル工科大学の27日付ニュースリリースでは、同大の研究グループが開発した「皮膚パッチによる迅速かつ非侵襲的な結核診断法」を紹介している。A-patchと呼ばれるシール状の皮膚パッチは腕に貼って利用し、結核患者の皮膚から放出されるトルエンなどの揮発性有機化合物を捉え、機械学習手法で解析する。学術誌 Advanced Scienceに掲載された研究成果では、インドと南アフリカで行った検証において、90%以上の感度と70%以上の特異度を示した。
この結果はWHOの規定するトリアージテストの要件を満たしており、実用化の可能性を秘めている。プロジェクトリーダーのRotem Vishinkin氏は「グループが開発しているプラットフォームは、安価で迅速かつシンプルで専門人材も必要ない」と述べ、世界各地の医療過疎地域で効果的な結核診断法として普及できるよう開発と検証を進めている。
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