米国では3700万人以上が糖尿病に罹患し、その多くが適切な時点で適切な治療を受けられないために、深刻な糖尿病合併症の影響を受けている。米テキサス州に所在するヒューストン大学の研究チームは、どの患者が糖尿病合併症を起こしやすいかを予測するAIシステム「Primary Care Forecast」の開発に取り組む。
大学の公表によると、このAIシステム内で開発されている最初のツールは、糖尿病合併症重症度指数(DCSI)の拡張ツールで、患者の病歴に加え、雇用状況や生活形態、教育レベル、食糧安保(フードセキュリティ)など、患者の社会経済的状況が合併症リスクを高める可能性を考慮したものであるという。米国家庭医療学会の資金提供によってツールは開発され、臨床医にタイムリーで実用的な洞察を提供することで、早期介入を実現し、合併症を発症する糖尿病患者割合の減少を狙う。
主要なプロジェクトメンバーであるIoannis Kakadiaris氏は「既存ツールの課題は、評価結果への説明が不足し、その後の行動への指針が無いため、信頼と実行が制限されることだ。我々が開発しているツールは、患者がなぜ危険かを臨床家に知らせ、そのリスクを軽減するための行動を提案することができる」と話す。米国では長年に渡り、保険会社や研究者、医療者などによってDCSIが使用されてきたが、「DCSIスコアの上昇によって、最も大きなリスクを負うことになるのはどの患者であるかを予測するツールはまだ存在しない」としている。
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