医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究スマートウォッチによる院外心停止の自動検出

スマートウォッチによる院外心停止の自動検出

院外心停止において、現場に人が居合わせなければ患者の生存可能性は著しく低下する。救命の連鎖(chain of survival)における最初のリンク「早期発見と通報」は、目撃者の有無に完全に依存するため、最も脆弱なリンクでもある。オランダ・トゥエンテ大学を中心とした研究チームは、スマートウォッチで院外心停止を自動検出する「HEART-SAFEプロジェクト」を推進している。

スマートウォッチに組み込まれた「PPG(光電式容積脈波)」測定機能は、脈拍と酸素飽和度を連続的にモニタリングできる確立された技術で、拍動性の血流が消失していることを高精度に検出できる。Resuscitation Plusに掲載された同研究では、さらに加速度・ジャイロセンサーや内蔵マイクを組み合わせ、無呼吸や無動作を捉えることで心停止の検出精度を高めている。

オランダでは年間17,000名に院外心停止が発生しているが、通報の遅れや目撃者不在により、その多くが死亡あるいは神経学的転帰不良となっている。研究メンバーでトゥエンテ大学のDerya Demirtas准教授は「我々のプロジェクトは、心肺蘇生開始までの時間を大幅に短縮することで、年間数千人を救命し予後を改善する可能性がある」と語った

関連記事:

  1. Apple Watchで心機能低下を検出
  2. VUNO – 心停止予測AIで規制当局の承認を取得
  3. 心臓造影MRIから突然死のリスクと発生タイミングを予測するAI研究
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事