英国では年間200万人以上の女性が乳がん検診を受けている。しかし、COVID-19パンデミックの影響により、乳房マンモグラフィ検査のワークフローは滞り、検診サービスに強い圧力となっていた。スコットランドに展開するNHS Grampianでは、乳がん検出AIシステムとしてKheiron Medical Technologies社の「Mia」を試験運用し、検診結果待ち時間やがん発見率についての効果検証を行っている。
研究チームでは、過去3年間における乳がん検診5万5千件以上、22万枚以上のマンモグラフィ画像をMiaで読み取り、放射線科医の読影と比較した。その結果、乳がん検診の標準プロセスである「2名の専門医」による読影では、検証用データセットにおいて303件の乳がんを検出したのに対し、「専門医1名」では261件を検出、「Mia単独」では271件を検出した。さらにMiaは、2名の専門医では発見できなかった47件の乳がんを追加的に発見することができたという。
研究チームを率いたNHS Grampianの主任放射線科医Gerald Lip氏は、「読影担当1人をAIに置き換えることで報告作業の負荷は30-40%削減される。しかし一方で、AIを単独で使うことは難しい」と述べ、多面的な検討のためには高度な訓練を受けた放射線科医との共同作業が欠かせない点を指摘する。
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