Gradient AI – 高額請求のリスク評価ソリューション

米国では、2010年のAffordable Care Act(いわゆるオバマケア)により、企業・団体は従業員に対する医療保険提供が義務付けられている。このような従業員の健康保険を自家保険として運営する企業および団体に対し、あらかじめ決められた金額を超える請求に対して、その超過額を払い戻す保険、いわゆる「ストップロス保険」が一般化している。

Gradient AI社は、保険業界向けAIソリューションを提供する大手ソフトウェアプロバイダーとして知られる。同社の「SAILソリューション」は、数千万件の保険契約および請求データから学習したAIアルゴリズムに基づき、高額請求リスクを正確に予測することができ、適切なストップロス保険の設定、および予測・コントロール可能な福利厚生プランの提供を支援する。

米国のストップロス市場は250億ドル規模と推定される。医療費の上昇が続く中、医療保険の自家モデルに目を向ける企業は増えているが、十分な過去データが入手できず、正確な評価が不可能であるためにストップロス保険の加入に踏み切れない状況がある。このような企業においては、従来型の保険市場に身を置かざるを得ず、結果的に年ごとの保険料高騰の影響によって、従業員が保険に加入できないという構造的問題も認められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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