脳卒中においては、適切で迅速な治療の開始が回復の鍵となる。年間85,000人が脳卒中を発症するイングランドにおいて、英国民保健サービス(NHS)では、脳CT画像から脳卒中の診断・治療をサポートするBrainomix社のAIシステム「e-Stroke」の運用を行っている。
Brainomixが発表したe-Strokeシステムに関する初期の分析では、プライマリケア病院到着から専門病院への転院搬送開始までの時間(DIDO: door-in-door-out)を140分から79分へと、平均で1時間以上の短縮を達成した。また、脳卒中後の機能的自立(後遺症なし、または軽度障害)患者が16%から48%へと、3倍の増加に寄与したという。
英国政府が明らかにしたところによると、政府の資金援助によるe-Strokeの運用で、イングランドの5つの脳卒中ネットワークにおいて、延べ111,000人以上の脳卒中疑い患者がシステムの恩恵を受けたという。NHSイングランドのTimothy Ferris氏は「脳卒中が疑われた患者にとって、初期評価で節約できた時間は、健康な状態で退院できる可能性を劇的に向上させる。NHSではAIが持つ可能性を活用し、有望な技術を検証・評価・支援している」と語った。
関連記事: