細胞の分裂過程で一部に突然変異が生じ、正常細胞と変異細胞が混在するものを「モザイク変異」と呼ぶ。現在、モザイク変異の検出には専門家による視認作業が主流であり、時間を要するとともに人為的エラーを伴う工程となっている。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、深層学習モデルを用いてモザイク変異を検出する「DeepMosaic」に関する研究成果を、Nature Biotechnologyから2日発表した。DeepMosaicは、一塩基モザイク変異体の画像ベースでの可視化モジュールと、コントロールに依存しない変異体検出のための畳み込みニューラルネットワークベースの分類モジュールを組み合わせたもの。18万を超えるバリアントデータから学習したDeepMosaicは、非がん疾患の全ゲノムシーケンスにおいて感度0.78、特異度0.83、陽性適中率0.96を達成しており、研究チームでは「既存手法の代替・補完として臨床実装可能な高精度分類手法」と結論付けた。
著者のJoseph Gleeson氏は「薬物治療が効かないてんかん患者では、脳内におけるモザイク変異が原因となっていることがある。DeepMosaicを原因の特定できないてんかん患者のゲノムデータに適用したところ、変異を明らかにすることができた。本手法によって、ある種のてんかんではDNA変異検出の感度が向上し、新たな治療法を導くような発見がもたらされる可能性がある」と語っている。
関連記事: