心血管系医療へのAI活用

心血管疾患(CVD)は、1990年から2010年にかけて年齢調整死亡率が21%減少したにも関わらず、世界の死亡者数は31%増加している(参照論文)。効果的な管理を難しくしている要因として、CVD患者の4人に1人が5つ以上の合併症を持つことが挙げられる。多病態患者群の理解を進め、個別化治療戦略を実現するものとして、AIを含むデータ駆動型アプローチに大きな期待が集まっている。

European Heart Journalから11日公開された論文では、特に心血管医療に着目し、AI技術をヘルスデータに適用することの意義と理由をまとめ、当該アプローチを臨床データセットに対して適用し、日常診療に関連する新しい知見につなげるための明確な事例を紹介している。技術を医療関係者に広く開放しようとする本報は、機械学習手法の選択に関する技術的基礎にまで触れており、循環器系疾患へのAI活用を考える読者にとって有益な論文となっている。

Artificial intelligence to enhance clinical value across the spectrum of cardiovascular healthcare

関連記事:

  1. 「循環器AIは善か悪か」- 欧州心臓病学会での議論
  2. 心エコーに基づく新たなAIバイオマーカーを導出
  3. 医師の「パジャマタイム」を減らすAIアプリ
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事