医師の「パジャマタイム」を減らすAIアプリ

Nuance communicationsやSuki、DeepScribeなど、AI駆動型の「医療会話におけるノートテイキングシステム」は乱立しているが、Abridgeはその独創性を主張し、投資家らの熱い視線を集めた。

Abridgeはこのほど、シリーズAラウンドとして1250万ドル(16.8億円)の資金調達を明らかにした。米ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とするこのスタートアップは、ピッツバーグ大学医療センターの循環器科医とカーネギーメロン大学の研究者らが2018年に設立したもの。臨床医が勤務時間後にクリニカルノートを入力する時間を指す、いわゆる「パジャマタイム」を減らすことで、医師の燃え尽き症候群の回避を狙う。同社の最初のソリューションは、医師患者間の医療会話を記録し、医師による指示や処置の内容、重要なステップの説明をブックマークするアプリで、患者の理解を促すことができる。現在2万人が同アプリを利用している。

Abridgeが新たに公表した医師向けソリューションは、医師の会話を聞き取り、完全な記録を作成するとともに、医師固有のノート構成に沿った瞬時のサマリーを作成することができるというもの。例えば、患者との30分の面談を実施した場合、会話終了から約30秒後には、医師はアプリから「正確で読みやすい診察内容のサマリー」にアクセスすることができる。このサマリーは、会話の中の無関係な「雑談部分」が全て取り除かれ、診療に必要となる情報のみが要約されたものとなる。こちらも現在、2,000名以上の臨床医が日常臨床において利用している。

Abridgeは「競合他社はある程度人間の介入が必要になる」ことを指摘し、また他サービスは対面での会話にしか対応しないのに対し、同社サービスは「遠隔医療やコールセンターにも統合可能な唯一のサービス」であることを強調する。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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