ウェアラブルセンサーは、加速度計やジャイロスコープ、磁力計などの慣性センサーに基づいて人の動きをモニタリング・評価することに用いられている。また、生体信号を計測するためのセンサー搭載も進んでおり、現在、手首に装着するウェアラブル端末には、血流脈波や心拍数、心拍変動を計測する光電式脈波計、皮膚温度を計測する温度計、ガルバニック皮膚反応を計測する電気皮膚活動計など、種々のバイオセンサーが一般的に用いられている。このようなウェアラブルセンサーを用いて、物理的変化のみならず、感情変化を予測しようとする試みがある。
Sensorsに掲載された研究論文によると、手首装着型のウェアラブルセンサーによる生体信号から感情を予測する複数の機械学習モデルについて、その性能を比較・検証している。ここでは感情の2つの次元である、感情価(Valence)と覚醒度(Arousal)を考慮したモデルを構築した。アンケート調査に基づく感情の予測のため、Long Short-Term Memory(LSTM)を含む多様な分類モデルおよび回帰モデルを比較している。結果、分類モデルよりも回帰モデルが概ね良好な結果を示しており、中でもLSTM回帰モデルが最良の予測性能を示していた。
研究者らは「モデルのトレーニング段階であらゆる生体信号を利用することはせずとも、信頼性の高いモデルを構築できることが分かった」としており、「特定のセンサーのみでも十分に感情予測を行える可能性があること」を強調している。
参照論文:
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