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米国成人の60%がヘルスケアAIに不快感を抱く

Pew Research Centerが22日明らかにした最新の調査結果では、米国市民の60%が「医療にAIを用いること」に違和感を抱いているという。Amazonでの買い物やNetflixの番組推薦、Teslaの自動運転、銀行のカスタマーサービスなど、米国の日常にAIは広く深く根付いているが、自身の健康へのAIによる直接介入にはまだ納得感が醸成されていない可能性がある。

同調査は、米国成人1.1万人以上を無作為に抽出したオンライン調査で、人種や民族、性別、学歴、支持政党など、米国の人口統計を正確に代表させるため、統計学的な重み付けを加えた解析を行っている。調査対象者の60%は「疾患の診断や治療法の推奨といったことをAIに頼って行う医療機関には違和感を覚える」と回答し、57%が「AIの利用によって医療提供者との関係が悪化する」と回答していた。また、「AIを使った疾患の診断や治療法の推奨が健康状態の改善につながる」と感じているのはわずか38%で、33%は「悪い結果につながる」、27%が「あまり変わらない」と回答していた。さらに、60%が「AI駆動のロボットが手術の一部を担うことを望まない」とし、79%が「AIが自身のメンタルヘルスケアに関与することを望まない」としていた。

研究者らはこれらの結果を受け、「AIに対する意識はまだ発展途上にある」点を強調した上で、特に専門性が高く理解が容易でないヘルスケアAIにおいては、「深く精通していない事実」もこのような結果を生んだ要因と評価している。態度の変化には、これらの新技術を身近に感じられる必要があるとともに、技術主導による急速な臨床環境の置き換えは「患者を置き去りにする可能性」を含む点も指摘している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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