高齢者のER受診と入院を79%減少させるAIツール

米ニュージャージー州全域で在宅医療を展開する「Clare Medical」(過去記事参照)は、AIベースの診断プラットフォーム「CAID(Clare AI-based diagnostic)」で高齢者の救急外来(ER)受診と入院の予防に取り組んでいる。

Clare Medicalが明らかにしたところによると、同社はCAIDに関する臨床試験を、以前発表の300名規模から1,000名の高齢者に拡大し、プラットフォームの有用性を評価している。同試験で、CAIDは317名の患者を「30日以内にER受診または入院に至る可能性が高い」と特定した。リスクの高い患者に対して、システムは必要なケア事項を推奨し、ER受診/入院を回避するための介入を行う。その結果、ER受診/入院に至ったのは高リスク317名のうち66名で、79.2%の患者がリスク回避できたとしている。また、低〜中リスク判定の残り683名には平常通りのケアを継続し、ER受診/入院に至った患者は23名で、リスク分類の適確さも示した。

Clare MedicalのCEOであるRon Lipstein氏は「CAIDの機能は、医療費削減を目指す保険支払者にとって大きな価値を持つものだ。米国内では、回避可能なER受診/入院が年間300〜400万件、年間300〜500億ドルのコストが見積もられている。我々の効果的な予測モデルと診断ツールが、実臨床に価値をもたらすことを心待ちにしている」と語った。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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