「レプトスピラ症」は汚水や尿中に生息する細菌であるレプトスピラが、経皮・経口的に感染して引き起こす人獣共通感染症である。世界で年間約100万人以上の新規発症と約6万人の死亡があるが、他の熱帯熱性疾患との誤診も多く、WHOはレプトスピラ症の発生率と死亡率が過小評価されていることに警戒を強めている。救命治療を早期に開始すべき高リスク患者を特定するため、ブラジルのウニヴェルシターリオ・ヴァウテル・カンチージオ病院の研究者らは「レプトスピラ症による死亡を予測する機械学習ベースの簡易スコア」を開発した。
Scientific Reportsに発表された同研究では、295名のレプトスピラ症患者の入院データから死亡を予測する機械学習モデル(XGBoostおよびLasso回帰)を構築した。さらに、解析プロセスから導かれた予測力が高く、かつ臨床的に用いやすい変数をもとに、簡易スコアリングシステム「QuickLepto」を開発している。QuickLeptoは5つの項目(年齢・嗜眠症状・呼吸器症状・血圧・ヘマトクリット)から算出される簡易スコアで、死亡の予測においてAUC 0.788という良好な精度を達成している。
多数の変数と機械学習モデルから直接導かれるリスクスコアは予測精度が高いものの、その利用過程は複雑で特定の計算機を必要とするケースもある。そのため、研究者らは変数を絞り込むことで、臨床現場の医師にとって使用しやすい簡易スコアリングシステムへと変換した。研究チームは次のステップとして、医療資源が限られた疾病負荷の大きい環境において、簡易スコアの有用性を実証することを目指している。
参照論文:
Development and validation of a simple machine learning tool to predict mortality in leptospirosis
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