カナダ・アルバータ大学の研究チームは、心電図からその後の死亡率を予測するAIモデルを構築し、その性能を検証した。医療における一般的検査として普及する12誘導心電図から死亡リスクを推定するこの技術は、ポイントオブケアでの実用的な予後予測手段となる可能性から大きな注目を集める。
npj Digital Medicineから公開された研究論文によるとチームは、2007年から2020年にかけてアルバータ州で測定された160万件超の心電図データに基づき、測定後30日、1年、5年の死亡率を予測する複数のAIモデル(ResNet、XGBoost)を構築した。結果、より高い性能を示したResNetモデルは、AUCとしてそれぞれ0.843、0.812、0.798を示し、心電図単独から高精度な死亡リスク予測ができる可能性を示している。
チームは、患者を最低リスクから最高リスクまでの5つのカテゴリーに分類し、患者属性情報(年齢と性別)と6つの標準的な血液検査結果(クレアチニン、腎機能、ナトリウム、トロポニン、ヘモグロビン、カリウム)を含めるとさらに高い精度で分類されることも明らかにした。医療における古典的検査が持つ潜在的情報量の大きさが、先端のAI技術によって解明された事例の1つと言える。
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