禁煙の失敗は、パブや職場など喫煙習慣のあった場所で過ごして起きる「喫煙衝動」が原因の1つと考えられている。英国発の禁煙AIアプリ「Quit Sense」は、過去に喫煙した時間・場所・引き金を学習し、喫煙衝動が起き得るタイミングでユーザーにメッセージを表示することで、禁煙活動を支援する。
Nicotine and Tobacco Researchに発表された同アプリの基礎研究は、英イーストアングリア大学(UEA)のチームが主導し、英国立健康研究所(NIHR)や英国医学研究審議会(MRC)から資金の助成を受けている。本研究の無作為化比較試験は209名の喫煙者を対象とし、被験者全員が英国民保健サービス(NHS)のオンライン禁煙サポートを受け、その半数にQuit Senseアプリが提供された。アプリをインストールして禁煙日の設定まで到達したのはアプリ提供を受けた被験者の75%で、試用期間は平均で約1ヶ月であった。6ヶ月後の追跡調査では、オンラインサポートのみの被験者の継続禁煙率(2.9%)と比べ、アプリ提供を受けた人々の禁煙率は約4倍(11.5%)となっていた。
英国は2030年までに喫煙率を5%未満にするという目標を掲げており、テクノロジーの活用を禁煙推進施策に盛り込む。本研究の主著者でUEAのFelix Naughton教授は「禁煙を試みる人々に対して喫煙に絡む環境要因を学ばせ、その管理を技術支援することは、禁煙の成功可能性を高める新しい手法だ」と語った。
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