機械学習により「禁煙に有効な既存薬」を特定

鎮咳去痰薬として知られるデキストロメトルファン(商品名:メジコン)など複数の既存薬が、禁煙治療に再利用できる可能性があることを機械学習アプローチが明らかにした。

米ペンシルベニア州立大学やミネソタ大学の研究者らがまとめた研究論文によると、130万人以上の遺伝子データを対象とした機械学習を用いた分析により、喫煙行動に関連する400以上の遺伝子を特定した。それぞれの遺伝子が生物学的経路においてどのような役割を果たしているかを調べ、機序から喫煙行動に至らせない効能を示す可能性のある既存薬を明らかにした。研究成果は26日、Nature Geneticsから公開されている。

特定した薬剤の中には、喫煙者の禁煙を助ける効果があるとして、すでに臨床試験が開始されているものもあるが、候補薬剤は複数示されており、禁煙支援の新しい薬物療法の可能性に期待が集まっている。

参照論文:

Multi-ancestry transcriptome-wide association analyses yield insights into tobacco use biology and drug repurposing

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