脱水状態を評価するAIデバイス開発

脱水状態の評価はバイタルサイン・尿量・身体所見・血液検査などを用いて行うが、医療現場における迅速で正確な評価は容易ではない。米アーカンソー大学の研究チームは「末梢血管の静脈圧波から脱水状態を評価するAIアルゴリズム」の開発を進め、デバイス化に取り組んでいる。

プロジェクトメンバーでアーカンソー大学電気工学部のRobert Saunders氏によると「脱水レベルの情報は静脈圧の波形内に埋め込まれていると考えられ、従来、ノイズや干渉に埋もれた非常に弱い静脈圧波形からそのような情報を抽出することは難しかった。しかし、AIアルゴリズムの利用によってその抽出が可能になった」と話すJournal of Surgical Researchには基礎研究の1つとして、小児患者における脱水状態を予測するアルゴリズムの成果が発表されている。

プロジェクトで信号処理技術を担当するJingxian Wu氏によると、脱水評価AIデバイスには3つの応用の方向性があり、「1つ目は、救急隊員が患者の脱水レベルを即座に評価し、投与すべき水分量を決定すること。2つ目は、脱水症状を起こしやすい救急患者、特に小児患者において、時間のかかる検査を待たずに迅速な評価と水分投与の判断をすること。3つ目は戦場における負傷兵への利用で、脱水症状と関連する出血を評価すること」と説明しており、機械学習モデルを訓練するためにより多くのデータを集め、デバイスの精度を高めることをチームは目標としている。

参照論文:

Venous Physiology Predicts Dehydration in the Pediatric Population

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