AI医療の選択肢が増加する一方で「AIに対する患者の信頼には個々に大きく差異があること」が、米アリゾナ大学の研究チームによる調査から明らかにされた。この調査では、AIに対する患者の信頼度が大きく二分されるという傾向が示されている。
PLOS Digital Healthに掲載された同研究では、模擬患者が、診断・治療の選択肢としてAIシステムと人間の医師によるもののどちらを望むか、そしてどのような状況下でその選択を行うかを詳細に調査している。調査の結果、参加者の52.9%が人間の医師を選択し、47.1%がAIシステムを選択するという、ほぼ均等に分かれる結果となった。また、主治医がAIの有用性を説明したり、AIの利点について誘導すると、参加者のAIに対する受け入れ度が増加していた。白人と比較して黒人ではAIを選択する頻度が低く、ネイティブアメリカンはAIを選択する頻度が高かった。高齢者、政治的保守層、宗教意識の強い層ほど、AIを選択する割合が低かった。また、教育水準が上昇するほどAIを選択する割合は上昇していた。
本研究では、人種や民族、社会的な背景によってAIの受け入れ度に差が存在することを明らかにした。この点は、AIの価値と有用性を伝える際、患者の属するグループに応じた特別な配慮が必要であることを示唆する。論文の著者であるMarvin J. Slepian氏は「多くの患者が依然としてAIの利用に抵抗を感じている。しかし、情報の正確さ、後押し、傾聴体験を提供することで、受け入れ拡大に役立つだろう。AIの利点を臨床現場で活かすためには、医師の役割の組み込み方や、患者の意思決定に関してさらなる研究が必要だ」と語った。
参照論文:
Diverse patients’ attitudes towards Artificial Intelligence (AI) in diagnosis
関連記事: