前立腺がんにおいて、治療部位の焦点を絞る局所療法(FT: focal therapy)が、従来の「前立腺全体を対象とする治療法」の代替手段として受け入れられられるようになってきた。しかし、MRIによる画像検査では治療範囲を過小評価する可能性がある一方で、範囲を過度に拡大するとFTの目的を逸脱してしまうことから、FTで重要な課題となるのが「適切な治療マージンの設定」である。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、AIアプローチによる「FTの治療マージンを正確に定義する研究」に取り組む。
European Urology Open Scienceに発表された同研究では、前立腺がんの生検組織標本データを基に、FTの治療マージンを定義するAIモデルを開発している。実際に前立腺全摘除術を受けた50名の患者でこのAIモデルを検証した結果、従来のMRI単独による評価よりも腫瘍の断端をより正確に評価することが可能であるという結果を導いた。
研究チームは、この研究成果をベースに、前立腺がんの被膜浸潤の予測や、放射線治療における照射の焦点をより効果的とすること、ひいてはFTの治療結果改善に役立つことを期待している。
参照論文:
Prediction and Mapping of Intraprostatic Tumor Extent with Artificial Intelligence
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