世界保健機関(WHO)が位置づける健康への脅威トップ10の1つである「ワクチン忌避(Vaccine Hesitancy)」は、現代の公衆衛生において重大な課題となっている。スペイン・サンティアゴの臨床医学研究所「IDIS」の研究チームは、「ChatGPTによるワクチン忌避に関する回答生成能力」を評価し、ワクチンの安全性を啓発する情報提供ツールとしての有効性を調査した。
Human Vaccines and Immunotherapeuticsに発表された同研究では、COVID-19ワクチンに関する頻出上位50件の質問をChatGPTに投げかけ、その回答の正確性を専門家によって評価した。質問には、「COVID-19ワクチンは後遺症(Long Covid)を引き起こすか?」といった誤情報を含むものも混ざっていた。専門家による評価の結果、回答の大部分が正確さの面で「exellent」「good」として高く評価され、10段階評価での平均スコアは9点であった。85.5%の回答が「正確」、残る14.5%が「正確だが情報にギャップがある」と評価された。
研究を主導したAntonio Salas氏は「ChatGPTはワクチンや予防接種に関する不正確な質問を検出することが可能だ。このAIが使用する表現は、一般市民にも理解しやすいものでありながら、科学的な厳密さも保たれている。現状のChatGPTは、専門家や科学的エビデンスの代わりになるものではない。しかし、本研究の結果は、ChatGPTが一般市民にとって信頼性の高い情報源となる可能性を示唆している」と語った。
参照論文:
Chatting with ChatGPT to learn about safety of COVID-19 vaccines – A perspective
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