AIの生成したコンテンツをユーザーがどのように受け入れるか、心理的側面への関心が高まっている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の研究チームは、「生成AI、人間、あるいは双方の組み合わせで生み出されたコンテンツを消費者がどのように受け止めるか」を調査し、興味深い結果を得ている。
SSRNでプレプリント版が公開されている同研究では、小売製品の販売促進コピー、および社会的キャンペーンメッセージ(「ジャンクフードを食べ過ぎない」など)を、生成AI、人、両者の協働によって作成し、そえぞれの評価を消費者に求めた。その結果、興味深いことに、コンテンツの背後にいる作成者が公開されている場合、消費者は「人間が生成したコンテンツに肯定的となる傾向」が確認された。また、作成者が分かっている場合には、「AI生成のコンテンツに嫌悪感を示さない」ことも明らかになった。一方、作成者の情報が不明な場合、AI生成コンテンツが好まれる傾向もみられた。
AIと人の生成物が比較される中で、従来の調査からはいわゆる「アルゴリズム嫌悪(algorithmic aversion)」がよく知られていた。しかし、本研究では、AIが嫌悪されているのではなくむしろ「人間が贔屓されている(human favoritism)」という側面を強調している。著者のYunhao Zhang氏は「本研究が最も直接的に示唆するのは、『コンテンツがAIの生成物かどうか消費者はまったく気にしていない』ということだ。同時に『人間がどこで関与したか』を知ることには大きなメリットがある。そのため、企業は人間を完全に排除した自動化を追究すべきではない」と語っている。
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