血液中を流れるがん由来のDNA(circulating tumor, ctDNA)を検出するAIモデルが、がん再発予測においてこれまでにない感度・精度を示すことを明らかにした。ニューヨークゲノムセンター(NYGC)やメモリアルスローンケタリングがんセンター(MSK)などの研究チームによる本成果は、Nature Medicineから14日公開されている。
チームの研究論文によると、ctDNAを検出するこの機械学習モデル(MDR-EDGE)は、肺がん・メラノーマ・乳がん・大腸がん・前がん性大腸ポリープの患者を対象とした実証にも成功している。リキッドバイオプシー技術はその大きな期待の一方で、有効な技術としての実現が遅れている。これまでのほとんどのアプローチは、比較的小さながん関連変異のセットを対象としており、それらはしばしば血液中にまばらに存在するため、確実に検出することができず、その結果、発見されないままがんが再発することが課題の1つだった。
今回の研究では、シーケンスデータの微細なパターンを検出し、特にがんを示唆するパターンとシーケンスエラー、またその他のノイズを示唆するパターンを識別することで、より高感度にctDNAを捉えることができる。実際、15人の大腸がん患者(外科的手術+化学療法後)において9人に「がんが残存していること」をMRD-EDGEは予測したが、このうち5人は数ヶ月後に再発が認められ、またMRD-EDGEでがんの残存を否定された症例は全て、調査期間中に再発しなかった。
本研究成果は、がん治療・モニタリング戦略に大きな影響を与え得るものであるとともに、大腸がんが発生する可能性のある大腸腺腫にも検出力を持つなど、スクリーニング戦略への影響も期待される。著者らは「全体として、MRD-EDGEは大きなニーズに応えるものであり、我々はその可能性に興奮している」と述べた。
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