医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例救急医療に応用可能なAI製品 - FDAリストのレビュー

救急医療に応用可能なAI製品 – FDAリストのレビュー

救急医は、不確実性の高い状況下において限られた情報をもとに、重要な判断を下さなければならないが、AIを利用した製品は、トリアージや診断、臨床転機の予測などについて、救急医療(Emergency MedicineEM)における意思決定をサポートできる可能性がある。米国では、AIを利用した製品の一部は、FDAにより承認を受ける必要がある。米Mayo Clinicの救急医らは、FDAにより公表されているAI利用製品リストのレビューを行い、EMに応用可能な製品を特定し、評価した

1995年から2024年までに、合計882のAI利用製品がFDAによって審査され、そのうちEMに適用可能な製品は154であった。EMで有益なAI利用製品の大半が、診断、画像解析(X線、CT、超音波、MRI)に関連するものであった。その他には、聴診器で聴取される心音や呼吸音の解析、脳波の解析による痙攣や外傷性脳挫傷の特定、眼振の解析による脳震盪の評価などに関連する製品が見られた。一方で、臨床的意思決定支援や治療に直接貢献する製品はほとんど見られなかった。ICER(臨床経済評価研究所)の評価基準に基づき、製品の健康的利益を評価した結果、肯定的な利益が期待される製品は全体の20%(30製品)にとどまり、79製品(51%)では元来の基準と比較したエビデンスが不足していることが判明した。

筆者らは、今後数年間でこれらのAI利用製品の導入は大幅に増加すると予想しており、これに先立ち、製品の安全性と臨床的有効性を評価するためのガイドラインとプロセスを明確化することが重要であると述べている。

参照論文:

FDA reviewed artificial intelligence-enabled products applicable to emergency medicine

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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