女性の健康を脅かす疾患の一つである子宮頸がんのスクリーニング受診率は高所得国と低所得国で大きな差がある。AI診断ツールは研究及び臨床で大規模に導入され、効果をあげているが、低所得国ではインフラの整備などでAIツールの導入が限られている。研究チームらは、AIを用いた子宮頸がんの細胞学的スクリーニングを東アフリカで実装し、課題と展望をthe BMJに報告した。
研究チームは、ケニア南部の農村部において、最小限のインフラに基づくAI支援型子宮頸がん細胞診スクリーニングシステムを導入した。このプロジェクトでは、子宮頸部スメアサンプルのデジタル病理画像をモバイルネットワークを介してクラウド環境にアップロードし、AI分析と遠隔地の病理専門家による検証が行われた。看護師、検査技師、データマネージャー、病理学者、臨床医などを含む専任の現地チームが結成され、スタッフ全員が検体採取、スライド作製、バイオセーフティ、デジタルデータ入力、AIツールの使用に関する集中的な研修を受けた。結果として、子宮頸部スメアサンプルのデジタル化とAI支援分析は、技術的には実現可能であったが、試薬供給の停滞、試薬の品質不足、停電によって診断精度の制約を受けたことがわかった。
研究チームは、AIが支援する診断方法は、リソースの限られた環境でも子宮頸がんを含む女性の健康状態のスクリーニングへのアクセスを拡大することができるとコメントしている。しかし、資源が限られた環境においてAIを活用した診断ツールを効果的に導入・拡張するには、状況に適したインフラ整備が不可欠であり、AI技術の活用だけでなく、地域の医療システムの整備によっても決まると述べている。改善のためには診断経路と方法を簡素化し、インフラ、消耗品、ユーザーのスキルへの依存を減らす工夫が必要とコメントしている。
参照論文:
AI supported diagnostic innovations for impact in global women’s health
関連記事:




















