次世代の聴覚ケアにおける鍵はAIとスマフォ

世界保健機関(WHO)の予測によると、高齢化を背景として、2050年までに世界で4人に1人が聴覚障害を持つとしており、そのうち7億人が「適切なリハビリを必要とする」という。カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の耳鼻咽喉科、生体医工学、認知科学などで教授を務めるFan-Gang Zeng氏は、事態解決の鍵は「AIとスマートフォン」にあるとみている。

同氏の研究チームは昨秋、Nature Machine Intelligence誌から公開したperspective論文のなかで、「AI研究者と聴覚研究者が協力し、聴覚に技術的な革新をもたらすこと」を呼びかけた。ここでは、既存の技術を応用することで臨床現場に影響を与え得るものを詳説し、「真の人工聴覚システムを構築するための新しい技術開発の方向性」を提案している。UCIがこのほど明らかにしたところによると、Zeng氏は「AIによる診断や最適な治療法選択は速やかに現実になる」と話す。

また、これら技術の恩恵を享受するにはソフトウェアと同時にハードウェアが必要となるが、「幸運なことにスマートフォンが普及した」と指摘し、医療過疎地域を含め、世界中のあらゆる国・地域にこのデバイスが浸透したことは、「先端ケアアクセスへの障壁のほとんどを無くす」と語り、次世代聴覚ケアへの期待感を強調している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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