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食事量追跡AIで長期療養施設の栄養失調を減らせるか?

カナダにおける長期療養型施設(LTC: Long-Term Care Homes)では、「約54%に何らかの栄養失調リスクあり」との先行研究があった。問題改善のため、LTC入居者における食事摂取量のモニタリングが試みられているものの、スタッフには負担となり、記録の主観性から臨床的に有用なデータとしても限界がある。近年、カメラによる撮影でカロリーおよび栄養摂取を定量するツールが開発されている。LTC環境における食事摂取量の自動追跡ツールを、カナダ・ウォータールー大学のチームが検証した。

Scientific Reports誌に発表された同研究では、食事摂取量を自動追跡する際の写真における「視覚と体積の不一致」を是正するため、「深度」の解析を洗練したAIツールの有用性が示されている。本システムではLTC入居者が食事した後の皿の写真から、色・深さなどの特徴を解析することで、食品の種類ごとにどれだけ食べられたかを推定し、摂取した栄養価を計算できる。従来の摂取推定量は、食事後の皿を見たスタッフによる手作業で記録されていたが、この主観性が強い報告プロセスでは「50%以上の誤差が生じている」との研究結果もあった。今回の自動化システムによって摂取量の誤差は4.2%にまで大きく改善したと報告している。

ウォータールー大学のインタビューに対し、同大学の博士研究員であるKaylen Pfisterer氏は「私たちのシステムは施設のレシピとリンクし、必要栄養摂取量を満たしているかが確認できる。将来のビジョンとしては、食事摂取傾向の変化をモニターすることで、健康状態把握のイエロー/レッドフラグとして活用したり、感染症モニタリングにも適用したい」と語っている。

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