Tempus -「EDGE」プラットフォームによる病理AI領域での飛躍

医療AI企業である米Tempusは21日、AIによって早期段階で適切な治療オプションを特定する病理プラットフォーム「EDGE」の立ち上げを公表した。このAIプラットフォームを利用することで、病理医はヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色のスライド1枚から、多様な知見を取得することができるようになる。

Tempusは50ペタバイトを超える非識別化マルチモーダルデータにアクセスしており、臨床試験中のものを含む分子標的治療の対象となり得る患者や、追加検査の恩恵を強く受ける患者を、がん治療の初期段階で同定することを目的として、AIモデルを開発してきた。同社のAbdul Hamid Halabi氏は「このプラットフォームは、実用的なAIを病理医の手元にもたらし、最適な治療経路の特定を支援するとともに、新しい分子標的治療法を開発する研究者のため、新しいバイオマーカーの発見を促進する」と述べる

Tempusは、NAPAと呼ばれる病理ラボネットワークを米全土に構築している。NAPAでは、特定バイオマーカーを持つ可能性が高い患者を同定するために設計された、Tempusの治験用AIモデルのポートフォリオを利用することができる。Tempusは、EDGEプラットフォームとNAPAネットワークを活用し、独自のバイオマーカーを特定するとともに、新しいAIアプリケーションを共同開発するため、世界有数の製薬会社やバイオテクノロジー企業群との協調を進めている。

関連記事:

  1. Tempus – 心房細動発症を1年前に予測する心電図分析プラットフォーム
  2. 大腸ポリープ病理評価AIシステムのパフォーマンス研究
  3. 前立腺がん病理診断支援AIの実用化に向けた研究
  4. 病理AIの飛躍へ – PathAIが大規模検査会社を買収
  5. 病理AIで非小細胞肺がんのネオアジュバント療法を評価
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事