空気を多量に含む臓器である肺は、超音波検査による評価対象として適切ではないと長年考えられてきたが、アーチファクト(虚像)の解釈技術向上などに伴い、近年ではベッドサイドでの肺疾患評価に超音波検査が活用される機会も増えている。
カナダ・オンタリオ州に所在するLawson Health Research Instituteの研究チームは、ポータブル超音波検査装置にAIデバイスを組み合わせた、「重症患者における新しいリアルタイム肺評価手法」の臨床的有効性を評価する試験を進めている。医療AIスタートアップであるWavebaseが開発したこのデバイスは、超音波検査装置に取り付けることで、AIモデルによる肺超音波画像のリアルタイム解析を可能とするもの。ベッドサイドにおける当該検査で、肺炎を含む種々の感染症や虚脱など、肺関連の深刻な病態の自動検出を担う。
研究チームのChintan Dave医師は「クリティカルケアにおけるベッドサイドでの肺超音波検査では、生命を脅かす状態を数分以内に特定する必要があり、AIは大きな役割を果たす可能性がある」と述べた上で、「医師以外の医療職であってもAIシステムを活用し、迅速かつ正確な肺評価が可能となることを願っている」と話す。
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