カナダ・アルバータ州に所在するカルガリー大学などの研究チームは、小児がんを経験した成人のQOL(生活の質)を予測するモデルの構築と検証を行った。研究成果はこのほど、JAMA Network Openから公開されている。
米国立がん研究所のデータによると、小児がんの5年生存率は過去40年で85%以上に上昇しているが、これらのサバイバーは成人期において慢性疾患罹患や早期死亡など、「がんやその後の治療に関連した有害な結果」を招きやすいことが指摘されている。チームの研究論文によると、1970年から1986年の間に小児がんと診断された成人4,755人のデータに基づき、年齢・性別・人種といった基本属性情報、学歴や世帯年収、配偶者の有無といった社会経済的因子、喫煙や身体活動などのライフスタイル因子、心身の健康指標、などを加えた高精度なQOL予測モデルの構築に成功した。特に、身体的側面のQOLサマリースコア(PCS)の低下には、世帯年収が2万ドル以下あるいは8万ドル以上、慢性的な健康問題の存在やうつ病などが関連していた。また、精神面のQOLサマリースコア(MCS)低下には、就業状況、喫煙習慣、うつ病、整理整頓の困難などが関連していた。
著者らは「慢性的な健康状態、感情や神経認知の障害、現在の喫煙が心身のQOL低下と強く関連している」とし、「小児がんサバイバーの転帰を改善するには、これらの危険因子を標的とした介入が必要である」ことを強調している。
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