敗血症はそのリスク把握と早期診断が容易ではないことに加え、急速に進行する疾患特性のために「治療開始タイミングを適切にアラートするAIシステム」の臨床展開が期待されている。
Nature Medicineに掲載された研究においてジョンズホプキンス大学の研究チームは、同大学と Bayesian Healthが共同開発した新しいAI敗血症早期検出ツール「Targeted Real-time Early Warning System(TREWS)」の検証を行っている。8年間に及ぶ研究成果を活用したこの機械学習システムは、患者の病歴と現在の症状、検査結果を組み合わせ、患者の敗血症リスクを医師に警告することができる。研究者らは、TREWSが他のAIツールよりも有意に高い感度を持ち、最初の抗生物質オーダーまでの時間(中央値)を大きく短縮することに成功したこと、を明らかにした。
本研究成果を受け、米国医師会(AMA)のシニアアドバイザーであるKathleen Blake氏は、臨床医は「ただ鳴り響くばかりのアラートを嫌う」ことに言及し、敗血症の早期警告システムの性能向上だけでなく、「実臨床の文脈を理解し、採用されるためのシステム設計を行うこと」の重要性を強調している。
関連記事: