医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向Seer Medical社 - てんかんの在宅モニタリングシステムでFDA認可取得

Seer Medical社 – てんかんの在宅モニタリングシステムでFDA認可取得

てんかんは、脳神経細胞の過活動から発作を繰り返す神経疾患で、米国内において340万人以上が罹患しており、毎年15万人が新規に診断される。てんかんの専門評価は検査入院を必要とすることもあるなど、患者・医療者双方の負担は大きかった。豪州と米国を拠点とする「Seer Medical社」は、てんかん患者の脳波診断とモニタリングを在宅で行うシステム「Seer Home」を開発している。

Seer Medicalは、Seer Homeに対する米食品医薬品局(FDA)の510(k)認可取得を発表している。同システムは、在宅で1週間に渡って頭部と胸部の電極から「患者の脳波および心電図」を取得し、肩掛け型のウェアラブルデバイスであるSeer Senseからモニタリングハブにデータが転送される。また、ハブに設置された広角ハイビジョンカメラが発作時の体動をビデオ撮影し、データを補完する。収集されたデータには、専門医による確認と注釈付けが行われた後にAIプラットフォーム上で報告書が作成され、結果が担当医に届けられる。

Seerシステムは2017年に発売され、豪州国内でてんかんの診断・モニタリング分野に変革をもたらした。今回のFDA承認を受け、全米の患者へもシステム提供が開始される。臨床試験を担当した米メイヨークリニックの神経学准教授Ben Brinkmann氏は「Seerのシステムによって、てんかんなどの神経疾患を抱える人々がより迅速に、私生活を妨げられることなくケアを受けられるようになる。この技術は、神経疾患の医療リソースが不足する地域に特に大きな影響を与える」と語った

関連記事:

  1. てんかん発作からの解放を予測
  2. 新生児の脳波異常を音で聴き分ける
  3. MELDプロジェクト – てんかんの脳部位異常をMRIから検出するAI研究
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事