医療コーディングの価値とその自動化

医療コーディングは、患者の臨床記録にある病名などの医療情報に基づき、統計解析に使用できるよう「構造化されたコード」に変換する作業を指す。高レベルの一貫性を達成するために標準的なプロセスに従い、事務部門の専門家が実務にあたる。この医療コーディングは、プロセスの効率性と正確性向上のため、自動化システムによって支援される可能性が高い。

英ロンドン大学ユニバーシティカレッジやエディンバラ大学、オックスフォード大学などの研究チームは、現行の医療コーディングおよび自動化コーディングの専門家らとの議論を通し、次世代コーディングに関するアイデアの紹介と、AIおよび自然言語処理技術を利用する観点からその課題を要約している。論文はこのほど、npj Digital Medicineから公開された。ここでは、1. AIによる自動化コーディングが現実的に有望であること、2. 知識ベースの手法を抱き合わせることで説明可能性を高める必要性があり得ること、3. クリアすべき技術的・組織的課題があること、4. コーダーが開発プロセスに関与すべきであること、などを明らかにしている。

医療コーディングは医療単位や時間を超え、一貫した比較可能な臨床情報を提供するため、一般的な認識以上にその役割は重要となる。結果として得られる全国データはヘルスケア計画や政策に有効な情報を提供し、あらゆる疾患の疫学的理解を深めるためにも使用されるため、データに対する信頼性が欠かせない。英国の医療コーディングに関する紹介スライドとしては、NHS Digitalが提供する「Clinical coding for non coders」が参考になる(ダウンロードリンク)。

関連記事:

  1. Maverick Medical AI – 医療コーディングのAIプラットフォーム
  2. Nym Health – 医療コーディングの自動化プラットフォーム
  3. Apixio – 保険者による支払承認を自動化するAIシステム
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事