ポリマーナノ粒子は、人体の適切な場所に適切なタイミングで正確に薬を送達するための強力なツールとして期待されるが、製造自体が複雑なため、その利用は制限されてきた。実際、分子設計を行い、それを大規模に一貫して再現できるようにするには数十年を要することもあり、ベンチスケールの合成から産業スケールの製造までには明確なボトルネックがあった。
米コーネル大学の研究チームは、全米科学財団から300万ドル(3.96億円)の研究助成を受け、AIによってポリマーナノ粒子の製造方法を革新することを目指す。チームのアプローチでは、ポリマーナノ粒子の製造をリアルタイムで分析・誘導するためにAIを活用する。開始型化学気相成長(iCVD)システムでナノ粒子を合成する際、コンピュータビジョンで「光学的指紋」を読み取る。得られたデータは、ポリマーナノ粒子に関する情報を識別するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の学習に使用し、組み立て工程におけるリアルタイム自動意思決定に利用される。
本研究が成功すれば、「コンピュータ主導の新しい製造方法」を生み出すことに加え、最終的にはナノ医薬品の製造にも革命をもたらす可能性があることを研究チームは強調している。
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