音声認識AIによる臨床文書作成システムを提供するNuanceは、医療従事者による文書作成業務の実態を調査したレポートを公開している。ここでは、燃え尽き症候群の主要な因子として知られる「文書作成業務」の過大な負荷が明らかとなった。
2022年4月から7月にかけて英国を舞台に行われたこの調査では、医師や看護師、その他の医療専門職など1,000名を超える参加者を対象としている。主な調査結果では、医療従事者は臨床文書の作成に週平均で13.5時間(医師15.1時間、看護師16.5時間)を費やしており、過去7年間で25%増加していた。また全ての医療従事者は、週平均で3.2時間のプライベート時間を臨床文書の作成に費やしており、医師の平均は4.7時間となっていた。
文書作成を巡るネガティブな側面の一方、ドキュメンテーションの様式が過去7年間で大きく変化し、紙とペンを使用した文書作成は半減したこと(可読性向上)、電子カルテに一本化されることによって記載がより構造化されていること(標準化促進)、などが挙げられている。ただし、内容の正確性に大幅な向上が得られていない点は課題の1つとして残っている。Nuanceのソリューションを含め、AIを活用した文書作成支援と燃え尽き症候群の予防には、引き続き臨床現場における大きな需要が伴っている。
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